2022/07/09

naluaと論ずるファンタジー 【第一回・火炎魔法は初級魔法なのか?】

《ファイアボール》にどんなイメージをお持ちだろうか?
現実においては単純に火球の事であったり、バンド、戦闘機、酒などの名称として付けられるファイアボール。
ファンタジー作品においては魔法使い、魔術士といった魔法の心得がある者が、杖や指先、手のひらから放つ火球で少数の敵を攻撃する初歩的魔法のイメージが強いのではなかろうか?
今日はそのイメージに対して深堀りしてみたいと思う。少々長くはなりそうだが、興味がある方はお付き合いいただきたい。


始めに注意事項を提示しておく。
一に、私は日本の学校法における短大・専門卒レベルで、多少ではあるがエネルギーに関する知識があり物理学の本を愛読している程度の一般人である事。
決して、世に論文を出せるレベルの人間では無い事。

二に、ファンタジー創作の魔法観で『様々な属性の精霊と契約して魔法を使う』や『魔術士に属性の適性がある』などの観点では成立しない考察である事。

以上の二つが根底であり、そこから1度でも角度がずれてしまうと論外になってしまう話である事はあらかじめ、承知いただきたい。

簡単に言えばメラよりヒャド、メリトよりダルトがなぜダメージ量が多くMP消費が多いのか?という話である。

それでは、魔法界の門を開いていこう。


まずは"火"というものを定義する。
四元素を解いた先人たちの固体(地)、液体(水)、気体(風)を変化させる"光と熱のエネルギー"の事として考えていこうと思う。
つまり"火"とは他の元素統べる力そのものと言えるのではないだろうか。

現実世界には少なくとも"魔力"や"魔法エネルギー"、"MP"といった概念はない。
しかし、ファンタジー世界においての魔法というものが『"魔法エネルギー"を転化する技術』だと考えたらどうだろう?
"魔法エネルギー"をそのまま"光と熱のエネルギー"に転化してぶつける、と言うのは比較的簡単に行えるのではないだろうか。我々が現代で『"電気エネルギー(W)"を"熱エネルギー(J)"に転化する』、要するに電気でドライヤーを動かしたり、トースターでパンを焼くのは割と単純な計算式で導きだせるのと同じように。

ならば氷魔法はどうだろう?
先程の理屈を通せば、冷凍と言うのはやや難しくなってくるのではないか。
仮に氷の魔法が空気中の水分を一気に凍らせるのだとすれば一度"熱エネルギー"を与えて奪う必要があり作業の行程が増える。スプレー缶で圧縮した空気を、一気に放出すると缶が冷えるアレだ。
固体も液体も気体も、圧縮すれば熱を持つ。しかし物質を急冷するには一度圧縮して、それ以上に膨張させる必要がある。
電気ストーブは単一で動作するが、クーラーは室内機と室外機が必要という理屈と一緒だ。
つまりは温めるよりは冷やす方が手順が増えてしまうのではないか?
更に言えばサンダーボルト的な雷魔法は温かい空気と冷たい空気を同時に発生させる処理を行う事になる。


それでは、文詠唱や魔法陣、時限といった要素について考えてみる。

どうにかこうにかして雷雨状況を維持できてしまうのは良くない。天候制御装置が成り立ってしまうからだ。
天候というものは食料に直結し、その国民を一斉に窮地に追いやることができる。
ファンタジー創作において天候制御装置の存在を認めてしまうと物語の中でのパワーバランスが狂ってしまう。
もちろん、天候制御装置を開発した国を憎み歯向かう話や天候制御装置を開発し絶対的勝利を掴む話であれば成立するが、それ以外の国同士の競り合いではその存在はタブーだろう。

この論で進めるならば魔法というものは"魔法エネルギー"を"瞬時的に他のエネルギー"に転化し、再び"魔法エネルギー"に戻すのものなのではないか?
現象が発生してから微調整が効かない瞬時的な"エネルギー"の転化。
永続してはならない奇跡の理。
一回の呪文詠唱や魔法陣により多くの情報量を乗せる事によって高度な現象を起こす。当然、使われる"魔法エネルギー"も多くなる。


結論として、火炎魔法は瞬時的なエネルギー変換の情報量が少ないが故に初級魔法として扱われるのではないだろうか。

ここまで語っておいて行数の少ない結論ではあるが、この戯言を読んだファンタジー好きの諸兄らには是非とも、多くの議論を重ねてほしい。

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